箕面ビールさん、誕生秘話
そもそもなぜビール造りを始められたのでしょうか?
酒屋で一番売れるのはワインや焼酎ではなくビールです。ただ、ビールはディスカウントストアがどんどん出てきて、ビールの販売だけでは酒屋は成り立たなくなりました。
そこでビールをディスカウントで売るか、クラフトビールを売るか悩んでいました。
最初はクラフトビールを買い付けに行ったのですが、クラフトビールを造っているところは規模もそれほど大きくないため、外販できるほどビールを造っていませんでした。それならば、自分たちでビールを造るしかないと思って、ビール造りをはじめることになりました。
あくまでも酒屋さんが利益を取れるようなビールをつくろうというのが出発点です。なので、小売をするつもりがなく、酒販卸をメインに考えてビール造りを行っていましたが、どこでもビールを売れるようになったため、酒屋さんがどんどんなくっていったので、自分たちでも小売をやるようになりました。
最初のビールは?
最初造ったのは、ピルスナーとダークラガーです。それから2,3ヶ月後にスタウトをリリースしました。ただ、自分たちがビールを作り始めて2年ほどで地ビールブームが終わってしまって厳しい時代に突入しました。それでOEMでもビールを出していました。
斎藤:僕が初めて箕面ビールを知ったのは、「ガンジャハイ」というビールでした。 これもOEMですね。大麻の種子を使ったビールで、もろ大麻の絵が書かれたビールでやばいもの造っているビール会社が箕面にあるなぁと言うのが第一印象です(笑)
たしかにありましたね!今だにトイレなどに「ガンジャハイ」のラベルを張ってくれているお店があってびっくりします。地ビールブームが去った後はかなり大変だったので、色々やりましたね。
試行錯誤の繰り返し
2002年に設備を大規模に入れ替えています。それまで、箕面ビールはエキストラクトを使って、半製品を造っていました。
麦汁を煮て、水飴状にしてから水分を飛ばしたものを買ってきて、それを溶かして、発酵させてビールを作っていました。ただ、地ビールブームが去ってビールを造るところが減っていったため、その原料の買い付けが困難になりました。
それで一からビールを造ろうと設備を入れ変えました。そのタイミングで酒屋さんへの卸から小売メインへ業態を変えました。中瓶だったのを小瓶にし、値段設定も見直し、ラベルも変えました。
それでやっていたところに、2009年にスタウトが「World Beer Awards」のDry Stout部門で金賞を受賞しました。それが転機となり、それまで専門店での扱いがほとんどだったのですが、飲食店などにもおいていただけるようになりました。
ビールを造ることももちろん難しいのですが、さらに難しいのはやはりそのビールを買って飲んでもらうことです。飲食店さんは、箕面ビールとお客さんの間にたってくれる存在ですので、飲食店さんとの取引が増えたことは非常にありがたかったですね。
さらに自分たちも毎週巡業のようにイベントで各地を回って直接お客様とお話しさせていただくことで、モチベーションを保っていました。
斎藤:みつか坊主で、自分たちの思うラーメンが作れない時、店を締めてでも何度も試行錯誤しました。
自分たちが思うビールを造るのは本当にたいへんですけど、経験を重ねる毎にスキルが向上してきました。教えられてできるものじゃないので、試行錯誤の繰り返しです。自分たちがやっている環境の中で、知恵を絞っていいものを造っていく。そうやって失敗を重ねて、ようやく今はある程度自分たちが造りたいものを造れるようにはなってきました。
ただ、ベストはないので、毎回悩みながらビール造りをしています。
最近は大手もクラフトビールを出していますが?
クラフトビールというものがあるというのを知ってもらうにはすごく良いことだと思います。ビールはピルスナーだけでなく、色々なものがあるというのを知ってもらいたいです。2杯目に飲んでもらえたらと思っています。1杯目はピルスナーを飲んで、その後、焼酎やワインではなく、2杯目に箕面ビールを挟んでもらう。
日本ではクラフトビールがようやく広がりつつありますが、アメリカではビールの15%がクラフトビールと言われています。クラフトビールの波は世界にも広がっていて、イギリスやドイツなどでもどんどん新しいスタイルのクラフトビールメーカーができています。
箕面ビールはクラフトビールではありますが、ローカルビールだとも思っています。地域根ざして、やっているのが大手とは違う所ですかね。ビールは嗜好品なので、自分の好みにあったものを選んでもらえたらいいです。
みつか坊主と箕面ビールの出会いは?
斎藤:お店が休みの時には、毎週箕面の山に遊びに来ていました。それで帰りに箕面ビールの工場でビールを飲むのが楽しみでした。それである時、先代の社長に自分のお店に箕面ビールを置きたいと伝えた所、快諾していただきました。
ただ、クラフトビールは賞味期限もあり、ある程度量が出ないと置けない。2009年頃にまずはボトルを置かせていただくことがはじまり、量も出るようになったこともり、その1年後には生ビールを置かせていただけるようになりました。
大阪来たら、みつか坊主でラーメン食べて箕面ビールを飲むの楽しみにしてくださっているお客様がいるのはうれしいです。
少しずつでいいから広がってほしい
箕面ビールは1人1人の口コミでじわじわ広がっています。そういった私設応援団的なお客様の発信が何よりも心強いですし、うれしいですね。大手と違って大々的なプロモーションはできないですが、FacebookなどのSNSを通してお客様とつながりながら広がっていくのがスタイルにあっていると思っています。クラフトビールはかっこつけても仕方がないので、地道にお客様との距離感を大事にしながら広まっていくのがいいですね。
チームでのビール造り
箕面ビールをつくりはじめた頃はかなりハードでしたが、今は一緒に働いてくれる仲間も増えて、だいぶ余裕を持ってビール造りに取り組めるようになってきました。ただ、やはりハードな面もあるし、なかなか思うように行かないことも多々あります。そんな中でがんばっていると壁にぶちあたった時には強くなれます。
チームで造っていくスタイルなので、あまり大きくしようとは考えていなくて、バランスを見ながらやっていきたいと思っています。
―最後にクラフトビールを飲んだことのない人へのメッセージをお願いします。
ビールは本当に奥が深いです。なので、まずはクラフトビールがあることを知ってほしいです。ビールと言うと苦いやお腹いっぱいになるなどのイメージがありますが、ほんとに色々な種類のビールがあり、味も様々です。なので、まずは楽しんでもらいたいです。さらに、料理とのマリアージュでさらにクラフトビールを楽しんでもらえたらと思います。
MINOH BEER WAREHOUSE
本社併設の直営店(ボトルショップ&パブ) 工場より徒歩1分。
出来立ての箕面ビールを味わえる事は もちろん、ビールに合ったフードメニューも充実。
ボトルビールの販売、オリジナルグッズの販売も行っています。
住所 | 大阪府箕面市牧落3−14−18 |
TEL | 072-725-7234 |
席数 | 52席 |
営業時間 | 【物販】10:00〜21:00 【パブ】11:00〜21:00(ラストオーダー20:30) |
定休日 | 木曜日 |
最寄り駅 | 阪急箕面線「牧落駅」徒歩12分 |